「あけましておめでとうございます」
朝、顔を合わせるなり早速新年の挨拶を口にした。
「……あァ新年の挨拶か。ヤハハ、ではおれからも言ってやろうじゃないか。あけましておめでとう」
一度首を捻ってたもののすぐに意図を理解して挨拶を返してくれた。
「もしかしてここではそう言わないんですか」
現代日本から、いわゆる異世界転生というのだろうかとにかくそれでこの世界にある日突然やってきた。元の世界とは異なる世界で彼女は今生きている。
「ヤハハ! ここでの挨拶は大抵が「ヘソ!」だからなァ」
「じゃあもしかしてお正月って考え方? 呼び方? もないんですか?」
「オショウガツ? なんだそれは」
「1月のことです。由来は詳しく覚えてないですけどとにかくめでたい月なんです。家族と集まって豪華なご飯を食べたりお餅を食べたりして、多分お祝い? なんだと思います」
「ははァおまえは祝っているかどうかもわからずに豪勢な飯をただ食っていた、と」
エネル様が馬鹿にするようにニタリと笑う。
「まァ、そうですけども」
「ヤハハハハ、そうむくれるな。どうせ昨日から準備していたのはその豪勢な料理とやらなのだろう? 楽しみにしていた」
エネル様にそう微笑まれてしまれては悪い気もしない。むしろ浮かれてしまう。
「エネル様はそこで待っててくださいね、すぐテーブルに並べますから!」
「あァ待っているとも」
手持ち無沙汰になった神はソファに横たわると手近にあった林檎を齧ろうと手を伸ばす。しかし、女の浮かれた鼻歌が聞こえてきて彼はその手を引っ込めた。空腹で彼女の料理を迎えようと思い直して瞼を閉じる。「お待たせしました!」と弾んだ声が舞い戻ってくるのをただ静かに待つことにするのだった。
あけまして
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