shanks × you…
※現パロ
カップルで賑わうクリスマスマーケット。待ち合わせ場所からその会場へ着くまでぐいぐいと手を引いて歩いていたのは女の方だった。照れ隠しなのか普段より幾分か大股で早足に歩こうとする彼女だがそれでもシャンクスの手のひらから離れていくことはなかった。
そんな彼女のいじらしさこそシャンクスからすれば「可愛い」以外の何物でもないのだが、当然彼女は知る由もない。
「わ、もういい匂いがする」
彼女が嬉しそうに呟いたように会場が近づくにつれて心浮たつスパイシーな香りが辺りに漂い始める。シャンクスの頭に思い浮かぶのはホットワイン――すなわち酒だったが、それは幸いにも彼女と同じだったらしい。
「屋台回る前にホットワインだけ先でいいよね?」
「あァもちろんだ」
会場に一歩足を踏み入れればそこは露店の温かな光と行き交う客の楽しげな声で満ちていた。露店の小さなテントは互いに身を寄せ合うように立ち並んでいて次から次へと目新しい品々が視界に躍る。くるみ割り人形や木製のオーナメントなどクリスマスマーケットならではの可愛らしい雑貨は勿論のこと、それ以外にも店先で柔らかい光を反射して淡く輝くアクセサリーや雪の結晶をかたどったハンドメイド品などあちこちに目移りしては寄り道を増やしていく彼女に負けず劣らず「これ見てみろよ、おいあっちも面白そうだ」とシャンクスも様々な店の前で足を止めた。
「……あのさ、飲食スペースってもしかしてもっとむこう?」
最初の目的地をすっかり忘れたまま会場を歩きまわりイベントを楽しんでいたが、すれ違った人の手にカリーブルストとワインがあるのを見て二人はしまったと顔を見合わせて笑った。
「シャンクスーどう? ホットワインありそう?」
周りの客よりも視界の高いシャンクスが会場を見渡せばすぐに十数メートル先にそれらしいテントが見えた。と同時に食事を出していそうな店が徐々に混み始めていることも確認して口を開く。
「あー……そうだなもう少し行けばそれっぽいのがありそうなんだが、」
「じゃあ今度こそ寄り道なしでホットワインね」
相変わらず人波に視界を邪魔されながらも彼女はシャンクスが見ていた方へと足を向ける。けれど、一歩先を行く彼女の手をシャンクスがぐいと掴んで引き寄せた。どうかしたのかと見上げてきた彼女に笑いかけてシャンクスはそのまま彼女の腰を抱き寄せる。
「混んできたしな。はぐれたら困るだろ?」
「そ、うかも」
急に近づいた距離に戸惑う彼女の頭上でシャンクスがふ、と小さく忍び笑う。
「んじゃ行ってみるかァ!」
「……もう。お酒飲めるからってご機嫌になりすぎだってば」
彼女が甘い溜息を吐いたのもつかの間のこと。シャンクスの言葉にすぐ彼女も元の調子を取り戻して恋人の体を小突く。けれど、シャンクスの顔に微笑みが浮かぶのとそっくり同じに彼女の顔にもご機嫌な笑みが浮かぶのだった。
12/09 反射して/オーナメント/手のひら