20251211

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shanks × you…

「なに食ってんだ。菓子か?」
 ほこほこと湯気の上がるコーヒーカップと小皿にのった粉砂糖まみれの菓子。一日の疲れを癒すためにとっておいたのはシュトレンだった。ホリデーシーズンにのみ許される毎日のお楽しみである。
「たまにはノックぐらいしたら?」
 おまえは女なんだからと与えられたこの個室は元は物置部屋だったようでさほど広くはない。けれど仲間たちがよってたかって改造を加えてくれたおかげで居心地のいい部屋になったし当然プライベートスペースとして十分に機能していた。目の前のこの男たった一人を除いて、だけど。
「別にいいだろ。今更隠すような仲でもねェんだし」
 勝手に入ってきたシャンクスはわたしの座る椅子の真後ろ、ちょうどベッドの端に悠々と腰を下ろした。
「あのねえ」
 ため息をついたわたしをシャンクスが非難する。
「まさかおれに隠れて浮気でもしようってのか?」
「そんなわけないでしょうが」
 彼は上目遣いにこちらを見つめ口をとがらせていた。陽だまりを駆け回って遊ぶ子どもたちみたいな表情だったけれど四十近い無精ひげの男にそんな顔をされても正直可愛くはないはずだ。けれど惚れた欲目があるせいかわたしの心は目の前の男が見せるその表情に悔しいけれどきゅんとしてしまう。
 とはいえ、あんまり長いことぶすくれた可愛い表情のままにしておくのもかわいそうだったのでわたしはフォークで切り分けて不格好になったシュトレンをまだ何か言いたげなその口に放り込んでやることにした。そしてわたしもぽろぽろと零れ落ちそうな粉砂糖に注意しつつようやくシュトレンを口に運ぶ。一日のご褒美に相応しい染み渡るような砂糖の甘さとバターの香り、ラム酒漬けのドライフルーツもたっぷり入っていてこれがまた美味しい。
「どうシャンクス、おいしい?」
「ン……甘いな」
「他に感想は? もしかしてお菓子は甘いものだって知らなかった?」
 身もふたもない彼の感想に思わず笑い声をあげるとまた彼が文句を言いたげに口をとがらせる。
「そんな顔しないで。ほらもうひと口いる? あーん」
 切り分けた最後のひとかけらをフォークに乗せて差し出すとシャンクスはにやりと口角を上げ不敵な笑みを見せた。わたしの腕ごとフォークを引き寄せるわざと見せつけるようにしてその口の中へと菓子を迎え入れる。最後に口の周りに残った粉砂糖を赤い舌がべろりと舐めとるのがいやになまめかしく映った。
「もうひと口くれ」
「いまのでおわり。気に入ったならまた明日一緒に食べる?」
「それも悪くはねェな。けど、今すぐにってのもありだろ?」
「そんなこと言われてももうなにも……ってちょっ、んッ」
 触れるようなかわいいキスなんてなしに最初からぐちゃぐちゃに食い荒らすようなキスだった。抗議の声もすべて彼に飲み込まれて、存分に味わい尽くすように彼の舌が口内を這いまわる。呼吸ひとつさえままならずされるがまま、もはやただ感じ入ることしか許されない。
「本当にどこもかしこもおまえは甘いなァ」
 まるで呆れたと言わんばかりのたしなめるような呟き。けれど甘い甘い口付けに溺れたわたしにそんな小さな呟きを気にする余裕なんてもう残っていなかった。

12/11 シュトレン/毎日のお楽しみ/陽だまり

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