愛しい人肌のぬくもり
頬ずりをする彼女をまるで子猫のようだと感じてその細い首に手をやる。
「なにがそんなにいいんだかな」
彼女は変わらずおれの胸にすり寄ってくる。起きるにはまだ早い時間だったがふと目が覚めた。隣をみればすやすやと眠った彼女がおれの胸にそのすべらかな頬を寄せていた。心地よさげに眠っている彼女を起こすには忍びなくかといってされるがままでいるのもつまらない。あやすように首を撫ぜていてやると「ん、んぐ….」と色の乗らないあどけない寝言を漏らす。
「呑気なことで」
間抜けな声に毒気を抜かれたおれは彼女をつぶさないよう力加減に注意してその背に腕を回す。とんとんと心臓の音を意識して背を叩いてやると彼女の寝息がまたすやすやと落ち着いたものに変わっていく。その穏やかな表情とシーツ下で密着している彼女のやわくも艶のある身体とがまるでちぐはぐな印象を与えてくるせいで、今にも起こしてその表情を変えてしまいたい欲とこのまま穏やかな世界に閉じ込めておきたい欲とが湧き上がる。この手が悪さをしようかと浮きかけては目の前の寝顔に絆されてもう少しだけこのままでいようかとまたリズムよく彼女の背に収まっていくのを繰り返していた。
人肌のぬくもりは眠りを呼ぶ。かの赤髪海賊団副船長とて例外はなく横に眠る女のぬくもりに段々と惹かれていくのを感じていた。あぁこのままではおれもまた眠ってしまいそうだとまどろみの中、無意識に彼女を一層大切そうに抱き込めると彼女と同じ夢の中へと沈んでいった。